●痔瘻とはどういうものですか? 痔瘻といえば昔は結核性のものだといわれていたことが ありますが、最近は結核性のものはほとんど無く、主とし て大腸菌が原因です。痔ろうは男性が女性の数倍も多く かかる病気です。 ●痔瘻にはどんなタイプのものがありますか? 痔瘻には簡単なもの、複雑なものと色々ありますが、 次の四つに分類されます (1)痔瘻か粘模下、皮下を走るもの (2)内外括約筋間を走るもの (3)外括約筋を貢通して肛門挙筋下に入って行くもの (4)挙筋上にまで及ぶもの ●痔瘻の原因は何ですか? 痔瘻は大便中の細菌が肛門管の一部から侵入して炎症 をおこし、発生してくるものです。 従って、大便中の細菌はすへて起炎菌と考えられます。 以前は痔瘻といえばすく結核性と考えた時期がありまし た。これは開放性結核が多くみられた時代に、結核菌を 含んだ喀痰を呑みこんで、それが肛門に達して発生した と考えられていました。 現在は開放性結核が激減したため、主に大腸菌などが 原因です。 ●女性に痔瘻が少ない理由は? 痔核、裂肛は女性も多くかかり、とくに裂肛は、続計上、 女性にたいへん多くみられます。 それに比べると、痔瘻は女性には少なく、男性に比べて 五分の一くらいです。 その原因はまだはっきり分かっていまぜんが、男性は女 性に比べて肛門括約筋の発達が著しく、とくに排便時の 直腸内圧は男性の方か高いようです。 そのため肛門小窩(クリプト)に直腸内の汚物が追いや られやすいのではないかと考えられています。 大きな複雑な痔瘻は体重の多い、括約筋の強い人によ くみられます。 ●痔瘻が治りにくい理由は? 原因は肛門小窩(クリプト)からの汚物、細菌の侵入です。 この部分と皮膚とつながった管がでぎると、この原発口 はいつも汚物の侵入にさらされるということが第一にあ げられます。 それに肛門部は括約筋がまわりを取りかこんでいて、絶 えす弛緩・収縮を繰り返し動いている等のために汚物の 流れが悪くなり、治りにくい状態になってしまいます。 ●痔瘻は手術をしなければ治らないのですか? いちはん確実て安全な方法は入院して手術することです。 痔瘻でも単純なものと複雑なものと色々あり、それによっ て手術法も違います。 ただ手術をしたあと、場所が肛門であるため、どうしても 汚染されますから、あとの創の処置が大切です。 つまり汚いものが創の上にたまらないようにいつも注意 して、創面をきれいにしておくことです。 ●痔瘻は再発しますか? 痔瘻は手術しても再発することがあります。 その原因は痔瘻のもと(原発口)が除去されておらず、肛 門腺の感染巣が除かれていないからです。 痔瘻の手術で最も大切なことは細菌の侵入部位を含め、 原発巣の完全除去です。 ●肛門周囲腫瘍とはどんな病気ですか? 直腸と肛門の境に歯状線というものかあります。 この漏斗状にへこんだ部分(クリプト)に汚物が侵入しや すいわけです。 そうすると炎症がおき、さらに進んで肛門腺管から肛門腺 へと進み、化濃して膿がたまります。 これが肛門周囲膿瘍の始まりで、浅いところ、深いところ と色々のところに濃がたまります。 こうなると肛門に痛みが強くなり、熱も出ます。 痔疾患で発熱するのは、この肛門周囲膿瘍だけです。 ●肛門周囲腫瘍の治療法は? 幸運な場合にはその部分が自然に破れて排膿されます。 あるいは切開して膿か出ると、痛みはずっと楽になり、熱 も下がります。 これて病気は治ったように感じます。 ところが、普通は急性炎症か治まったというだけで、やが てこれか管状に細くなって、直腸肛門管と皮膚とに連絡 した索状物か残り、これが一般的な痔瘻になります。 運のよい場合は、自然にクリプトがふさがつてそのまま 治まる場合もありますが、ほとんどは排膿があり、完全 に治すには根治手術を行うほかありません。 ●痔瘻は予防することはできますか? 痔ろうを予防することは困難です。 下痢をおこさないよう、肛門が不潔にならないように注意 することです。 慢性の裂肛の経過中に痔瘻になることがありまから、き れじも早く治しておくべきです。 |